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受け継がれる想い(3)(テラ) [地球へ・・・二次小説]

数え切れない星を見ながら自分の流転を考える。

ミュウとして覚醒しなかったら?

ブルーに助けられなかったら?

もっと幼い頃にここ(ミュウの母艦)に来ていたら?

視線を自分の手に移す。

この手で救えるものはほんのわずかだ。

今日も危険分子としてミュウの仲間が殺されている。

自分の託されたものはあまりに重く辛い使命だ。

「ソルジャー・シン」

ハーレイが後ろから声をかけた。

「昔、マムに言われた事思い出していたんだ。僕は学校の帰りに捨て猫を拾って帰った。

一度は見ないフリして通り過ぎたんだけど」

いつも心にあるのはブルーへの想いと母親の思慕。

「その猫の寿命がくるまで貴方は一緒に居てあげれないから

元の場所に置いて来なさいって言われたんだ。僕はその時十歳で成人検査が

終わればこの場所に居られない事は幼い頃から教えられていたから無理だってわかっていた。

でももう一度捨てる事なんて出来なかった」

「その猫はどうしたんですか?」

「僕の成人検査の時追いかけてきて車に跳ねられた・・・。マムの言うようにすればそんな事には

ならなかったかもしれない。天命を全うできたかも」

「その猫とトォニィは違うでしょう」

ハーレイにはジョミーの迷いに気付いていた。

「そうだろうか?」

「その猫だって貴方と過ごした四年はとても幸せだったはずです」

「車に跳ねられなければもっと生きられた」

「貴方が拾わなければとっくに消えていた命だったでしょう」

揺れ動いてるジョミーの心を諭すように話す。

「僕はトォニィの直向さが怖いのかもしれない」

「私だってトォニィは憎くはありません。ユウイもカリナも私にとっては

子供のような存在だったんですから」

「僕よりハーレイたちの方が彼らを長く見てきてたな。そうだった」

「自分ひとりを犠牲にしようとは考えないで下さい。我らをもっと信用していただきたい」

「・・・ありがとう」

ジョミーがここに来てからまだ十年余り。

それでも彼は心からミュウの仲間達に信頼され尊敬されている。

それは彼が純粋だからだ。

どんな感情であろうと隠そうとしなかったから。

ミュウには到底出来ない事だった。




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受け継がれる想い(2)(テラ) [地球へ・・・二次小説]

「ソルジャー・シン、トォニィたちは孤立しています」

リオがダイレクトに言葉を伝えてきた。

ジョミーは薄れ行くブルーのピジョンを見つめていた。

青の間、ここの住人はもう居ない。

この場所はジョミーとブルーが僅かな時間でありながらも

親子の愛情よりも深い感情を交し合った聖地とも言える所。

ここしかくつろげる場所はない。

ここを出れば指導者として徹しなければならない。

「ジョミー!」

返答を求めるようにもう一度リオが呼んだ。

「人類がミュウを忌み嫌うようにトォニィたちの存在自体が脅威なんだ」

「彼らが悪いわけじゃありません」

あの優しいジョミーの言葉とは思えない。

「・・・・リオ、人類とミュウの和平が成功したとして今度はトォニィたちが

地球を追われる事になるだろう」

「そんな・・・!」

「一つの問題が片付いたとしても新たな問題が生まれる」

淡々と話を続けるジョミー。

「戦う上でトォニィたちは必要だ。きっと僕が命がけで戦えと命じたらきっとそうするだろう。

でも彼らを犠牲にしたくない」

「だからわざと冷たい態度を?」

「ユウイとカリナに合わせる顔がなくなる」

明らかにジョミーの声は震えていた。

「申し訳ありません。貴方なりの考えがあった上での事だったんですね」

リオは自分の思慮の浅さを恥じた。

交信が終わるとジョミーは目を閉じた。

幼かったトォニィの姿が頭の中に浮かんでくる。

『グランパ、大好き!』

「おまえを愛してる。だからこそ死なせたくないんだ・・・」

ここに居れば将来和平の道が開けたとしても

トォニィたちが辛い思いをするに違いない。

戦力を弱める結果になったとしても解き放ってやりたい。

もう充分すぎるほど尽くしてくれたのだから。







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受け継がれる想い(1)(テラ) [地球へ・・・二次小説]

「どうして僕を見てくれないの?」

トォニィのその問いかけにも応えようとしない。

「昔は僕を見てくれていたのにどうして・・・」

最後あたりは辛そうに言葉が途切れる。

応えないままジョミーはそのまま立ち去ろうとする。

「ジョミー!」

こんなにもジョミーの為に頑張ってるのに

褒めてくれるどころか目すら合わせようとしてくれない。

たまに向き合っても冷たい目で見つめるだけ。

トォニィにはジョミーがどうしてそんな態度を

取るのかわからなかった。

ただ昔のように微笑みかけて欲しい

望みはそれだけなのに。

思念波を送ろうにもシールドされていて伝えられない。

タキオンたちの言うように淡い想いなど捨てて

自分の為だけに生きる方がいいんだろうか?

床に崩れているトォニィに誰かが近づいてくる。

素早く立ち上がると叫んだ。

「近寄るな!おまえはマムの仇だ」

憎んでも憎み足りないフィシスだった。

「俺は絶対許さない!!」

フィシスがあの男の手助けさえしなければ

精神(こころ)を壊して自分の母親が死ぬ事はなかった。

その思いがフィシスを見るたび湧き上がってくる。

「トォニィ・・・」

悲しげな顔で見つめている。

ジョミーがかばい立てさえしなかったらこの手でこの憎しみを

晴らすのに・・・。

フィシスにはジョミーがどうしてトォニィ対してこんなにも

冷たい態度を取るのかわかっていた。

その理由をトォニィ伝えたかったが自分の言う事など

聞く耳を持つはずなど無い事も知っていた。

でも苦しんでる様子を感じてここに来ていた。

『ジョミー、あの子にはもう貴方しか居ないんですよ。

もっと優しくしてあげて下さい』

ジョミーの返答はない。

ただ悲しみに満ちた感情だけがベールが

落ちてくるように広がっていく。

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決意(テラ) [地球へ・・・二次小説]

ジョミーは何ヶ月も経つと言うのにミュウの中に溶け込めずにいた。

今まで生きてきた世界がすべて偽りで機械が作り出した幻影である

という話はあまりに衝撃的だった。

「すぐに理解してくれとは言わないよ」

ブルーはそう言ってくれた。

でももう多分残された時間は少ない・・・!

はっきりとした形ではないけれど分かる。

この中では誰がこの気持ちを理解できるだろう

いや出来やしない!

行き場の無い怒りが悲しみがこみ上げて来る。

いやだ!また読まれてしまう。

どうして僕なんかに次期ソルジャーを・・。

「ブルー、ジョミーは困惑しています」

「ああ、わかってる。でも答えは彼が出さなければ

意味がない。今は僕にも何も出来ない」

憂いを帯びた瞳に未だ見ることない地球の姿が

浮かび上がる。

「ジョミーは孤独ですね。貴方と同じように」

ミュウの長である故の苦悩と孤独。

フィシスは気付いていた。

「誰かがそれをやらなければならないんだ」

ブルーは小さなため息を落とした。

ブルーは後悔していた。

ジョミーが最も適した存在である事は間違いない。

でも彼特有の輝きを殺してしまう事になるかもしれないと

考えていた。

彼個人としての幸福は得られる事はないだろう。

言わば人柱のようなものなのだ。

「フィシス、君には何が見える?」

「貴方らしくもありませんね」

クスッと笑う。

「僕だって占いを信じたい時だってあるよ」

占いが何もかも決めてくれるのなら

どれほど楽だろう。

突然、ハーレイが思念波を送ってくる。

「わかった。今そっちに行く」

「お気をつけて」

「ありがとう」

ブルーはそういうとテレポーションで母艦に移動した。

難しい顔のハーレイが映し出された映像を見ている。

「人類の宇宙船か・・・」

旧タイプの今にも大破しそうな宇宙船が映し出されてる。

「このままでは・・・」

「しかし助けた所で我らとは暮らす事は難しいだろう。

それにそれが新しい火種になるかもしれない

「見殺しにしろと」

「我らの敵かもしれない。思考が読めない」

「スパイです・・・か?」

「その可能性も否めない」

思考は読めないが生命自身が危険に晒されてるのは

伝わってきてる。

メンバーズかもしれない。

次の瞬間すさまじい衝撃が母艦を襲った。

ブルーとハーレイはよろめきながらも体勢を立て直した。

「なんだ!?」

管理部に問い合わせる。

『外部からの衝撃ではないようです』

「なんだと!」

「・・・ジョミー・・・だ」

「まさか、彼が・・・」

「僕以外にこれほどのパワーを持っているのは彼だけだ」

「どうして・・・」

ジョミーは自分が置かれてる状態が理解できなかった。

酸素マスクも無い状態で宇宙に浮かんでる。

誰かの助けを求める声が聞こえて意識を失った。

「彼らを助けるために君は無意識にここにきたんだ」

その声はブルーのものだった。

ブルーは少し怖そうな顔をで宇宙船に向かって

両手をかざした。

「な、何を・・・」

「ミュウの安楽の地を失うわけにはいかない」

言葉が終わらないうちに発せられたパワーで宇宙船は藻屑となって消えた。

「何て事を・・・!」

ジョミーの瞳から涙が零れた。

「帰ろう・・」

触れようとしたブルーの手を払いのけた。

「触るな!!」

抑えようの無い怒りが込上げて来る。

こんなに簡単に命を奪うなんて許せない!

「これが現実なんだ・・・」

「僕が長ならこんな事絶対しない!!」

ジョミーの取り乱した様子にもブルーは冷淡だった。

「なら君がミュウの長になりたまえ」

「僕を長にするためにこんな酷い事を・・・?」

ジョニーは両手で顔を覆って泣いていた。

自分が好きになりかけていたブルーの非情な仕打ちが

信じられなかった。

「戻ろう・・・」

ブルーがジョミーの手に触れた瞬間、色んな想いが流れ込んできた。

ガードを解除してる・・・。

表面とは裏腹に悲しみの感情が溢れている。

「ブルー・・・」

その綺麗な瞳からは一筋の涙が流れた。

はじめて見たブルーの本当の心をその涙は表していた。

「僕は貴方が好きだったのに・・・」

「僕は君が生を受けた瞬間から愛してたよ」

そこには非情な姿のブルーはもういない。

ブルーは優しくジョミーを抱き締めていた。

「貴方がどんなに酷い事をしたとしても僕は貴方とともに生きたい」

ジョミーは迷いを投げ捨ててブルーと共に生きる道を選んだ。

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ブルーの想い(短編) [地球へ・・・二次小説]

今なら理解できる。

終わることの無い孤独を知った今なら。

僕を選んだ理由も彼が何を想い何を考えていたかを。

でももう遅すぎる。

彼は居ないのだから。

どうしてもっと早く気付いてあげられなかったんだろう?

彼が心を遮断してるのは僕を信じていないからだと思ってた。

「どうして最後の最後に心の中を開放したんだ?」

空の蒼さとブルーのイメージが重なる。

答えるはずも無くただ寂しそうに微笑む。

「僕はそのせいで貴方から逃れる事ができなくなった」

苦しそうに俯く。

知らなければミュウの長にならなかったかもしれない。

「貴方が僕を選んだ事を心から詫びたりしなければ・・・」

ジョミーはブルーと別れて以来流した事の無い涙を落とした。

「貴方を忘れられない・・・。こんな心で生きろと言う貴方は本当に残酷だ」

この想いが愛なのか友情と言うのかわからない。

一生満たされる事がないであろう心でミュウを率いて

人類とともに生きる道を追求し続けるしかない人生はあまりに非情だった。
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遥かなる思い(2)(テラ) [地球へ・・・二次小説]

元気な泣き声が響き渡るミュウの母船。

嬉しそうな顔をするものや

困惑する顔のものひきこもごもだ。

「ソルジャー・ブルー、まるで太陽のような男の子ですね」

ジョミーの誕生の映像がメインパネルに映し出される。

「生まれて間もないのにこの子は凄い力を

発している。機械が察知できないほどの」

興奮気味に語るブルー。

久しぶりの嬉しそうな顔にフィシスも喜びが湧き上がってきた。

「この子が我らの運命を握るジョミーなのですね?」

ハーレイは少し心配そうに尋ねた。

「そうだ。僕の亡き後引き継ぐソルジャー」

仲間達はブルーの命がもう長くない事を知っていた。

思わず言葉を詰まらせて黙してしまう。

「この子がここを来るにはもう少し時間がかかるだろう。

だが僕達が今まで過ごした時間に比べれば一瞬とも

言える僅かな時間だ。今この瞬間彼をここに呼ぶべきか

迷ったが彼は人としての心も知らなければならない。

それがどう災いするか僕にもわからない」

「たとえ誤解を生んでしまったとしても

きっとわかりあえるはずです。貴方がどれほどこの子を

待ち望んでいたかを知れば」

「そうであればいいんだが・・・」

「我らも貴方の申し出を快く受けたいですが

彼が本当に適任であるか見極めたうえでなければ

承諾できかねます」

ハーレイだけの意見でなく長老の大半が同じ考えであった。

「・・・・・・」

ブルーは何も言わずジョミーの姿を見つめていた。


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遥かなる思い(1)(テラ) [地球へ・・・二次小説]

「我々はいつになったら安住の地に辿り着けるのだろう」

ソルジャーブルーは落胆した様子で呟いた。

「ブルー・・・」

どう慰めていいのか分からないフィシスは

言葉を詰まらせていた。

「・・・すまない。僕が弱音を吐いちゃいけないな」

自嘲げに笑うがすぐにそれも消えた。

「お疲れなのですね」

「そうかもしれない、ただ漠然と待つのが」

「もうすぐ運命の子(ジョミー)が誕生します」

「ああ、でも彼を巻き込んでしまうのが申し訳ない。

自分の与り知らぬところで事が進んでいるとは不憫でならない」

「彼は我々にない強さを持っています」

「それ故に孤立してしまうだろう」

孤独は自分がよく知っている。

だからこそ他のものには味あわせたくない。

「そうかもしれません。ですがもう運命の輪は動き出しています。

彼が望もうと望まなくとも・・・」

「誕生と同時大きな使命を与えられる。なんて残酷な運命だ」


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