届かない想い(1)(ヒカ碁) [ヒカルの碁二次小説]
俺どうしてもっと佐為の事考えてやらなかったんだろう。
学校に居ても棋院に居てもどこにいても楽しくない。
俺の周りは何の変化もないのに景色は色褪せて
まるで色彩の無い世界にいるみたいだ。
自分のバカさ加減に腹が立つ。
どんなに後悔してもダメなのか・・・・。
俺がどんなに願っても帰ってきてくれないのか。
碁にもあいつ(塔矢)にも情熱が持てない。
俺はこのまま埋もれていくのか。
それでもいい。
佐為がいないんなら何も意味を持たないから。
「進藤!」
学校の帰りに近くの公園のベンチでぼーっとしてると
聞き覚えの声がした。
「手合いどうして出てこないんだよ!?」
怒った顔の和谷。
今は誰とも関わりたくない。
何もなかったように立ち去ろうとする俺の前に立ちはだかる。
「シカトすんじゃねえよ」
俺は今、前を向いて進めない。
俺の気持ちなんて誰にもわかるはずがない。
「おまえから碁を取ったら何が残るんだよ!」
すれ違い様に叫ぶ和谷に何も言わず立ち去る。
佐為がいなきゃ意味がない・・・!
俺なんかの碁よりあいつの碁の方が
ずっとずっと価値があった。
俺は・・・、取り返しの無い事をしたんだ!!
俺の目から止め処もなく涙が溢れていた。