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千秋の子育て奮闘記(13)(のだめ) [のだめカンタービレ二次小説]

病院の帰りに小さな公園を見つけた。

「ちょっと寄ってみるか?」

いつもの埋め合わせってわけじゃないけど。

「いいデスね」

小さな池があって緑が生い茂ってる。

二人をベビーカーから下ろしてやる。

優一は初めての場所で警戒してる。

希はキョロキョロ辺りを見渡してる。

子供っておもしろい。

ずっと見ていても飽きない。

少し離れたところから両手を広げておいでと

合図すると少しずつ歩いてくる。

優一に負けないように希も歩いてる。

このたった一歩がどれだけ二人には大変なんだろうと思う。

俺に抱き締めてもらいたくて歩いてくる。

なんて一生懸命なんだろう・・・。

途中で希がよろけてしりもちをついた。

優一は気にする様子もなく歩き続ける。

希は悔し泣き。

その声は大きくて優一も振り返る。

希は泣きながらももう一度立ち上って歩き出す。

二人ともなんとか俺の所まで歩いた。

「優一、希えらいな」

俺は思いっきり抱き締めて褒めてやる。

「ゆうくんもノンちゃんも頑張ったネ」

二人を抱いたまま歩く。

じっとしていないので落としそうになる。

のだめが優一を抱いてくれた。

「今日オヤジに会えてよかったよ」

あいつは何も言わず笑った。

もう大丈夫だ。

俺は永い眠りから覚めたように

清々しい気持ちだった。

「もうすぐ二人とも一歳になるからお祝いしなきゃ」

「うん。オヤジは多分無理だけど母さんには来てもらいたいな。

本当は福岡のお義父さんたちにも来てもらいけど・・」

「みんなどうしてるかな?」

少し寂しそうな顔。

のだめだって家族に会いたいに違いない。

「二人を連れて一度向こうに帰るか?」

「別にいいデス。二人の写真は毎日のように送ってるし」

「だけど・・・」

「それより公演まで一週間しかないんデスよ。帰って勉強しないと」

日本に帰ろうと強くは言えない。

やっぱり費用がかかるから頻繁には帰れない。

あいつもそれはわかってる。

だから帰りたいとは言わないんだろう。

俺って甲斐性なしだな。






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