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秘密(18) [のだめカンタービレ二次小説]

ーコンチェルト前夜ー

「明日、仕事なんでしょう?」

夜空を見上げる千秋を気遣うようにのだめは声をかけた。


「・・・うん」


「元気ないデスね」

「明日がずっと来なければいい・・・。そんな気持ちだ」


「ミルヒはいなくなるわけじゃないですヨ」

「わかってる。それでも・・・」

いつになく千秋はナーバスになっていた。


その時、携帯電話が鳴った。


『チアキ、師匠の私に恥をかかせるような演奏は許さない』


「・・・・呂律の回ってない貴方に言われたくない!」

すぐに切った。

「ったく、エリーゼは何をしてるんだ?」

そのやり取りにのだめは笑った。


「今夜だけは二人、もしかしたらオリバーさんと

三人で飲んでいるいるかもしれないですヨ」


明日が終われば、エリーゼもあの困ったマエストロから解放される。

やれやれか名残惜しいか。


どちらだろう?



どれほど俺が明日が来ないでくれと望んだところで

そんな事起こるはずはない。

子供だって分かってる。



ーコンチェルト当日ー

定員オーバーで暴動が起きそうですと

警備員が始まる少し前に慌てて知らせに来た。



「シュトレーゼマンに何か起こらないか目を光らせて」

最後の最後で汚点を残したくない。


「エリーゼ、最終曲を外の人たちにも観せる事は出来ないだろうか?」

「スポンサーや観客が認めないわ」


「私が頼んでみるよ」

「シュトレーゼマン・・・」

最後は自分でやってしまうつもり?

不服そうなエリーゼ。


「君を信用していないわけじゃない。ただ最後のわがままを

自分でお願いしたいんだよ」


結局、根負けする形でスポンサーはおれた。

観客も初めは不服を言うものも居たが深く頭を下げるシュトレーゼマンを

見て納得してくれた。


千秋は彼のすごさを再認識すると同時に引退してほしくないと

言いかけた。

それを察したようにシュトレーゼマンは少し笑った。




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