SSブログ

決意(テラ) [地球へ・・・二次小説]

ジョミーは何ヶ月も経つと言うのにミュウの中に溶け込めずにいた。

今まで生きてきた世界がすべて偽りで機械が作り出した幻影である

という話はあまりに衝撃的だった。

「すぐに理解してくれとは言わないよ」

ブルーはそう言ってくれた。

でももう多分残された時間は少ない・・・!

はっきりとした形ではないけれど分かる。

この中では誰がこの気持ちを理解できるだろう

いや出来やしない!

行き場の無い怒りが悲しみがこみ上げて来る。

いやだ!また読まれてしまう。

どうして僕なんかに次期ソルジャーを・・。

「ブルー、ジョミーは困惑しています」

「ああ、わかってる。でも答えは彼が出さなければ

意味がない。今は僕にも何も出来ない」

憂いを帯びた瞳に未だ見ることない地球の姿が

浮かび上がる。

「ジョミーは孤独ですね。貴方と同じように」

ミュウの長である故の苦悩と孤独。

フィシスは気付いていた。

「誰かがそれをやらなければならないんだ」

ブルーは小さなため息を落とした。

ブルーは後悔していた。

ジョミーが最も適した存在である事は間違いない。

でも彼特有の輝きを殺してしまう事になるかもしれないと

考えていた。

彼個人としての幸福は得られる事はないだろう。

言わば人柱のようなものなのだ。

「フィシス、君には何が見える?」

「貴方らしくもありませんね」

クスッと笑う。

「僕だって占いを信じたい時だってあるよ」

占いが何もかも決めてくれるのなら

どれほど楽だろう。

突然、ハーレイが思念波を送ってくる。

「わかった。今そっちに行く」

「お気をつけて」

「ありがとう」

ブルーはそういうとテレポーションで母艦に移動した。

難しい顔のハーレイが映し出された映像を見ている。

「人類の宇宙船か・・・」

旧タイプの今にも大破しそうな宇宙船が映し出されてる。

「このままでは・・・」

「しかし助けた所で我らとは暮らす事は難しいだろう。

それにそれが新しい火種になるかもしれない

「見殺しにしろと」

「我らの敵かもしれない。思考が読めない」

「スパイです・・・か?」

「その可能性も否めない」

思考は読めないが生命自身が危険に晒されてるのは

伝わってきてる。

メンバーズかもしれない。

次の瞬間すさまじい衝撃が母艦を襲った。

ブルーとハーレイはよろめきながらも体勢を立て直した。

「なんだ!?」

管理部に問い合わせる。

『外部からの衝撃ではないようです』

「なんだと!」

「・・・ジョミー・・・だ」

「まさか、彼が・・・」

「僕以外にこれほどのパワーを持っているのは彼だけだ」

「どうして・・・」

ジョミーは自分が置かれてる状態が理解できなかった。

酸素マスクも無い状態で宇宙に浮かんでる。

誰かの助けを求める声が聞こえて意識を失った。

「彼らを助けるために君は無意識にここにきたんだ」

その声はブルーのものだった。

ブルーは少し怖そうな顔をで宇宙船に向かって

両手をかざした。

「な、何を・・・」

「ミュウの安楽の地を失うわけにはいかない」

言葉が終わらないうちに発せられたパワーで宇宙船は藻屑となって消えた。

「何て事を・・・!」

ジョミーの瞳から涙が零れた。

「帰ろう・・」

触れようとしたブルーの手を払いのけた。

「触るな!!」

抑えようの無い怒りが込上げて来る。

こんなに簡単に命を奪うなんて許せない!

「これが現実なんだ・・・」

「僕が長ならこんな事絶対しない!!」

ジョミーの取り乱した様子にもブルーは冷淡だった。

「なら君がミュウの長になりたまえ」

「僕を長にするためにこんな酷い事を・・・?」

ジョニーは両手で顔を覆って泣いていた。

自分が好きになりかけていたブルーの非情な仕打ちが

信じられなかった。

「戻ろう・・・」

ブルーがジョミーの手に触れた瞬間、色んな想いが流れ込んできた。

ガードを解除してる・・・。

表面とは裏腹に悲しみの感情が溢れている。

「ブルー・・・」

その綺麗な瞳からは一筋の涙が流れた。

はじめて見たブルーの本当の心をその涙は表していた。

「僕は貴方が好きだったのに・・・」

「僕は君が生を受けた瞬間から愛してたよ」

そこには非情な姿のブルーはもういない。

ブルーは優しくジョミーを抱き締めていた。

「貴方がどんなに酷い事をしたとしても僕は貴方とともに生きたい」

ジョミーは迷いを投げ捨ててブルーと共に生きる道を選んだ。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。