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求めるもの(2) [のだめカンタービレ二次小説]

「チアキはここに居ないって言ってるでしょう」

冷たいレンズの奥から怪訝そうな目でエリーゼさんは言った。

「真一くんが居なくなる時は決まって事務所絡みなんデス!

とにかく中に入れて下さい」

静止しようとする手を払いのけながらドアを開けた。

今更真一くんを隠す理由なんてないけど

わかってるけどここに居てほしかった。

もう他に心当たりなんてないから・・・。



奥の椅子がくるりを動いてミルヒの姿が見えた。


「ミルヒ・・・・」

「のだめチャン、どうしたんデスか?」

含みのある笑みを浮かべ落ち着いた声で訊いた。


「センパイが、真一くんが居ないんデス・・・・」

すがるように言った。

ミルヒの返事を待たずに続ける。


「真一くんが無断でルー・マルレを休むなんて

有り得ません。知ってるんでしょう?

何処に居るんデスか?」

一秒でも早く行方を知りたかった。

ミルヒの『知ってるヨ』という言葉で

安心したかった。


「残念デスが・・・」

「どうして意地悪するんデスか!」

否定は聞きたくなかった。


「意地悪なんかしてまセン。第一、私が今まで

のだめチャンに嘘ついた事ありマスか?」


「・・・・・・」

一度だってない。

ミルヒはあたしに嘘なんてつかない。

じゃあ、どうして真一くんは居なくなったんだろう?


「だから言ったでしょう」

ムッとしながらエリーゼさんは言った。


「だったら何処へ行ったって言うんデスか?」

いつの間にかあたしの瞳から涙が溢れていた。


わからない・・・・!

どうして居なくなったんだろう。


「のだめチャン・・・」

慰めようとしてくれているミルヒの声も聞こえなかった。




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