SSブログ

遠い約束(13) [のだめカンタービレ二次小説]

俺はあまりにも自分が愚かに思えて少し笑った。

勝手に待っていてくれているとうぬぼれていただけ

じゃないか・・・・。


確かに三年は長すぎたのかもしれない。

待っていてくれと形振り構わず言えば良かった。

どんなに後悔しても過ぎた時は戻らない。

何もかも遅すぎたと思い知らされた。


「突然こんな所までやってきて悪かった・・・・。

おまえの迷惑も考えずに」

「そんな・・・」

のだめは困ったような顔で千秋を見た。


同情されてる。

千秋は自嘲した。


いや、同情でもなんでもいい。

まだほんの少しでも自分の事を想ってくれているなら。

そんな考えが千秋の頭を過ぎる。


しかしのだめに抱かれている子供の姿が現実へと戻される。


「おまえを困らせるつもりはなかった。ただあんな別れ方をしたから

きっちり話をしたかっただけなんだ」

「真一くんは悪くないですヨ。のだめが勝手に帰って来たから・・・」

「いや、俺は大人気なかった」

「・・・・・・」

「こんな所を誰かに見られたらダンナが誤解するかもしれないな」

ごまかすように笑ったがきっとちゃんと笑えなかったと思う。

「・・・・・・」

のだめは何かを堪えるようにきつく唇を噛んだ。

「じゃあ、幸せに・・・・」

そういうと少しずつのだめから離れた。



もう一度顔を見たかったが振り向けなかった。

男がみっともなく涙を流してる姿なんか見せられない。

最後くらいあいつを心配させたくない。

俺は最後の最後まで意地っ張りだ。

笑って帰りたかった。

だが涙は止まらない。

もう一度だけのだめの姿を焼き付けたい。

だけど振り返れない。



のだめの視線を痛いほど感じながら

千秋は元来た道を引き返すしかなかった。









nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

遠い約束(12)再放送が・・・・ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。