SSブログ

遠い約束(14) [のだめカンタービレ二次小説]

「千秋!おい、千秋!!」

千秋は裏軒に戻ると荷物を持って何も言わずに

出て行こうとした。

それを見つけて峰が追いかけながら叫んだ。





「ったく、何だって言うんだよ!」

しばらく走った所でようやく峰は千秋の腕を掴んだ。


「・・・・・・・」

おまえは何時だって空気の読めない奴だ。

俺が黙って帰ろうとしている理由くらい察しろよ。

千秋は峰を睨みつけた。


「のだめとうまくいかなかったくらい俺だって分かるさ。

だけど挨拶くらいして帰るのが大人としての礼儀だろう」


こいつにこんな事を言われるなんて俺も落ちたもんだ。


「世話になった。あいつとはちゃんと話し合ってきた。

だから俺は向こうに帰る。おやじさんにもよろしく言ってくれ」

感情のこもっていない言葉に峰は怒りを覚えたようだった。

「おまえなあ」

「礼は言ったんだ。手を離せ」

これ以上みじめな気持ちにさせるな。


「のだめがはっきりとおまえとは終わったと言ったのか?」

「・・・・・」

「それなのにどうしておまえがそんな顔をしてるんだ?」

千秋は唇を噛んで何も言わなかった。

「そんなんで帰っても・・・・・」

「終わりも何もあいつ子供を抱いてたんだ!!」

千秋は峰を黙らせるように叫んだ。

何も話すなと言うわりに聞いてくるおまえはうざい。

「子供・・・!?」

峰は予想もしなかったのか凄く驚いていた。

「そうさ。あいつを見つけて声をかけようとしたら

子供を抱いて川を見ていた」

「いくつくらいの子供だ?」

「そんなのわかんねえよ」

子供の居ない俺にそんな事分かるはずないだろう。

「虎太郎と同じくらいか?」

千秋は少し考えてこたえた。

「多分、虎太郎より大きかった。女の子で・・・」

「虎はまだ二歳になってないからそう考えると二歳くらいだな。

あいつが帰ってから三年だろう?帰ってきてすぐに結婚して

子供が出来たって事か」


あいつが俺以外の誰かと付き合って結婚して子供を

もうけるなんて思ってもいなかった。


「あいつと付き合えるのはおまえくらいしかいないと

思ってたんだけどな・・・」


ああ、おまえの言うように俺もそう思ってた。

俺くらいだ、あんな変態を理解できるのはと。


「もういいだろう」

峰の手を振りほどいて再び歩き出そうとした時

峰はまたくだらない事を俺に聞いた。


「でもさ、結婚したんなら何で実家の近くに居たんだ?

まあ、近くに嫁いだのかもしれねえけど」



















nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

再放送が・・・・遠い約束(15) ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。