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秘密(13) [のだめカンタービレ二次小説]

エリーゼがドイツに着いたのは夜もすっかり深けていた。

シュトレーゼマンの居場所は何となく分かっていた。

母親の墓地の近くにある兄の所であろうと大体見当が付いていた。

ただ、そこを訪れて何を話せばいいか分からない。

急遽、飛行機で来たがまだ心の整理は付いていなかった。


「私は何をやっているのかしら。まるで逃げ出した恋人を

追いかけてきた女じゃない」

エリーゼは自分の行動を笑った。



私らしくもない。

此処まで来たのだから

このドアを開けずにどうするの。

エリーゼは自分を奮い立たせた。


意を決してドアを叩く。

程なくして老紳士が出てきた。


「夜分に申し訳ありません。フランツ・シュトレゼーマンは

こちらに居ますか?」

緊張した面持ちでそう言うのがやっとだった。

「貴女は?」

「これは失礼しました。私はシュトレゼーマンのマネージャーを

やらせて頂いているエリーゼと申します」

ラードルフは少し困ったような顔をした。

エリーゼを中に入れていいものか迷っていた。


「あなた、どうなさったの?」

妻のフェビエンヌが声をかける。


「いや、その・・・」

歓迎されていないのはすぐに分かった。

彼を無理やり連れ戻しにきたのではとでも思ったらしい。


「すいません。少し話をさせて頂けませんか?

無理に連れて帰る気は毛頭ありませんので」

ラードルフとフェビエンヌは顔を見合わせる。


「少々お待ち下さいませんか」

「はい」

エリーゼは少し寒かったのか襟元を押さえた。

会ってくれるだろうか?

いつものように強引にこのドアを開けようとは思わない。

今回はそれでは意味がないのだから。


しばらくするとドアが開いた。


「どうぞ、お入りください」

と中へ促された。

とりあえずは会ってくれるようだ。

エリーゼはほっとした。





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