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それでも忘れられない [のだめカンタービレ二次小説(短編)]

俺はあの人を死なせてしまった事を

記憶の奥にしまい込もうとしていた。

そうすることで忘れていた。

でも心のどこかで覚えていたんだろう。

その証拠に飛行機に乗れなかった。

飛行機=あの人の死を思い出させるキーワード。

のだめがそれを解消してくれた。

だから此処(ヨーロッパ)に)来れた。


「どうしたんデスか?哀愁が背中に出てますヨ」

のだめはいつもこんな風だ。

一緒に落ち込むというよりは何か悩んでいても

それがすべてじゃないと言ってくれる。

「・・・・飛行機事故の事をちょっと思い出していた」

少しのだめの表情が曇る。

「しんどいけど覚えていたいんだ、あの人の事。子供の俺でも

あの後、あの奥さんが悲しんだんだろうと想像はついた」

「仕方なかったんデス、前もいいましたケド」

「うん。理解できるし、分かってる。つらい思い出としてでなく

あの人と奥さんが笑い合っていた事を覚えていたいんだ」

「じゃあ、のだめも覚えておきマス」

微笑みながらそう言ってくれるのだめが愛おしい。

俺はこいつのピアノだけに惹かれたわけじゃない。

それが此処に来て気付いたもう一つの事だ。
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