変態の森にいらっしゃい~(のだめ) [のだめカンタービレ二次小説(短編)]
「はあ・・・」
真一は大きなため息をつくと頭を抱えた。
それはまるで恋におちた男のように切ない顔。
悲愴を聴いてから動き出した運命の輪は
あまりに気まぐれで人生を大きく変える事に。
『あのデタラメな『悲愴』が気になって何も手が付かない』
それほどに強烈だった。今まで聴いた事のない演奏だった。
刻まれたように耳に残る音色。
会いたいと焦がれた相手は未だ遭遇した事にない変態。
それでも気になる。
『俺ってこんなにおせっかいだったか・・・。
やばい、ペースに嵌ってる』
「せんぱい~♪」
満面の笑みで擦り寄ってくる。
『フォーリンラブ!?違うだろ!!捨て猫がなついてるだけだ』
「最近の千秋さま、変わったと思わない?」
「言われてみれば」
いつも千秋は沢山の取り巻きに囲まれていたが
嬉しいどころかうざいと感じていた。
のだめに対してもなんてずうずうしい寄生虫のような奴ぐらいにしか
思ってなかった。
だがいつしか自分の傍に居ないと違和感を感じるようになっていた。
しかし認めたくなくて否定していた。
『クールな俺様は一体どこに行った?』
「俺が興味を持ってるのはあいつのピアノだ!」
否定すれば否定するほど虚しくなる。
『このままだと変態の森の住人になってしまうぞ』
マングースの気ぐるみののだめが
おいでおいでしてる姿が浮かんできた。
悶々としていると隣から聞こえてくるピアノの音。
今までどうして気付かなかったのか不思議だった。
耳を傾けてる自分がいる。
真一の抵抗はいつまで持つかはわからないが
陥落近しであると推測する。
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