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十五夜 [のだめカンタービレ二次小説(短編)]

「真一くん、昨日のお月様見ましたか?」

女はどうしてこんなにくだらない事を気にするんだろう。

そう思いながら携帯電話に耳を傾けていた。

「とっても綺麗でしたヨ、神秘的と言うか・・・」

こいつにしてはまともな事を言ってるけど

今は新しい曲の事で一杯だった。

だから生返事で返していると

「ちゃんと聞いてるんデスか?」

少し苛立った口調にまずいと思いながら

「うん、聞いてる・・・・」

「ならいいんデスけど。とにかく綺麗なお月様で

昨日しばらく見とれてました」

「おまえの事だから月を見ながらマカロンでも想像して

よだれたらしてたんじゃないのか?」

「し、失礼な!のだめは純粋に・・・」

「ああ、わかった、わかったよ。もう休憩終わりだから」

半ば強引に電源を切った。

ちょっと悪かったかと思ったがとにかく俺は曲の事で

頭が一杯だった。




練習が終わると携帯にのだめからメールが届いていた。

『綺麗なお月様でしょう?』

昨日の月の画像が添付されていた。



慌しい毎日で綺麗だとか今日が何の日だとか

忘れしまいがちだけどそう言う事って本当は

大切な事なんだよな。

それでも俺は素直にそれを口に出来ない。



言わなくても大丈夫なんて思ってるわけじゃないけど・・・。
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