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遠い約束(8) [のだめカンタービレ二次小説]

「折角、来たんや。茶でも飲んでいかんか?」

「いや、俺達は・・・」

ハリセンには何か見透かされているようでいやだったし

当然、俺の向こうでの様子も知っているだろうし

とやかく詮索されたくなかった。

「いいじゃんか。慌てて帰る必要もねえし」

峰はそんな俺の思いを知ってか知らずか

余計な事を言った。

「・・・・・・」

千秋はあからさまに不機嫌そうな顔をした。

しかし、次の瞬間千秋の瞳は大きく見開いた。

「前に野田も来てたんや」

「のだめが!?」


「立ち話もなんやから」

千秋達は江藤の控え室の椅子に腰をかけた。


本棚には楽譜がずらりと並んでいて

前列の隙間に以前手に持っていたハリセンが立てかけられていた。

随分と使っていないのが少し被った埃で分かった。

のだめに言ったようにあれからハリセン使っていないのだろう。


江藤は手馴れたようにコーヒーを用意すると

二人の前に出した。


「おまえらが来ると分かってたらなんか用意しといたんやけどな」

申しわけなさそうに言った。


「のだめはいつ来たんですか?」

峰は急くように聞いた。

「三年前くらいやった。わしに気付いて逃げるように帰ったけどな」

「そんなに前か・・・!」

当てが外れたように峰は椅子に座りなおした。


三年前・・・?

あいつが帰国した頃だ。


「千秋、のだめが此処に来たって事はまだ脈があるんじゃねえか」

「・・・・・」

「おまえら別れたんか?」

「・・・・・」

千秋はこたえず唇を噛んだ。

「野田が一人で来たのを見てそやないかと思うた。まあわしには

どうでもいい話やけどな。ただ様子が変やったからちょっと

気になっておまえらなら知っとると思ったんや」

「のだめが変なのは今に始まった事じゃねえだろう」

「そうやない。顔色も良うなかったしえろう疲れた感じやった」











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