SSブログ

遠い約束(19) [のだめカンタービレ二次小説]

子供がいる峰は子供をあやすのは慣れたもので

真理恵も暴れることなく抱かれてキャッキャッと嬉しそうに

笑っていた。

横の千秋は放心したように無表情で

その声も聞こえていないようだった。


もしかしたら、この子は・・・・・?

いや、あいつはそんな事言わなかったじゃないか。



三年前、俺達は同じ理由で言い争っていた。

『真一くんはいつかいつかって先延ばしするばかりじゃないデスか?』

『先延ばししてる訳じゃない。今はまだ無理だって言ってるだけだ』

この時の俺は多分、厳しい表情をしていたと思う。

正直、まだ子供を持とうとは思っていなかったから。

ようやく仕事も増えて軌道に乗ったばかりだったし、

のだめもシュトレーゼマンとの競演で注目を集めたが

その後はあまり世間の評価は良いものではなかった。


『子供が出来たら自分の時間が持てなくなる』

そういいながら俺もやっぱりおやじと同じなんだと思った。

『・・・・本当は怖いんでしょ?』

追い討ちをかけるようなのだめの言葉が俺をイラつかせた。

『違う!大体、おまえに子供が育てられるのか!?』


『・・・・育てられますヨ』

『どうだかな?自分の事も満足に出来ないクセに』

何て嫌な事を言ってるんだろう。

だけど自分の心を見透かさせて誤魔化そうと必死だった。


『・・・・分かりました。歩みよりがない以上これ以上

話し合う意味はないデス』

そう言うとのだめは俺のアパートメントから出て行った。

追いかけていくのも癪でしなかった。

何日かしたらまたのだめから連絡してくるだろう

そう簡単に考えていた。

しかし、ターニャからの連絡でのだめが日本に帰った事を

知ったのはわずか数日後の事だった。


すべてを放り出して帰った事が信じられなかった。

何より俺を置いて帰るなんて思ってもいない事だった。




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

遠い約束(18)遠い約束(20) ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。