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遠い約束(20) [のだめカンタービレ二次小説]

俺が三年前の事を思い出していたまさにその時だった。

「ただいま」

いつも聞いていた声が玄関の方から聞こえた。


「お母さん、誰か来とるの?」

いつもと違う靴がある事に気づいたらしく洋子さんに聞いているようだ。


俺に気づいて逃げられたらそう思うと俺はすごい勢いで玄関に走っていた。

「のだめ・・・」

「真一くん・・・・?」

帰ったと思っていた俺が此処に居る事に驚いていた。

「のだめ、久しぶり!」

「峰くん」

峰は真理恵を抱いたまま言った。


「この子は俺が見てるから少し外で話したらどうだ?」

「・・・・・・」

のだめは小さく唇を噛んだ。

「頼む。少しでいいから俺と話をしてくれ」

「恵は今帰ってきたばかりなんよ。おなかもすいてるだろうし」

洋子は気に入らないようだった。

「すいません」

千秋は深く頭を下げた。

「そげん事言われても・・・」


「二人で話をさせてやった方がいい」

「お父さん・・・・」


「お母さん、すぐ戻るから。峰くん、悪いけど真理恵の事見ててくれる?」

のだめは心を決めたように少し厳しい目で言った。

「大丈夫!虎で慣れてるから」



のだめはしばらく何も言わずにただ歩いていた。

バツが悪いのか自分とは話したくないんだろうかと

千秋は思い悩んでいた。

だが、せっかく話す機会が出来たのだ。

このまま無言で歩いているわけにもいかない。


「のだめ・・・」

「ハイ」

あの頃と変わっていない。

何も変わっていないじゃないか。

頼りなさげな瞳も少し息が抜けたような返事も。


だが、悲しそうな表情に変わっていくのだめを

見て千秋は現実に引き戻された。


「のだめ、おまえにどうしても確かめたい事がある」

千秋は自分を奮い立たせるように力強い声で言った。










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