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のだめカンタービレ二次小説(短編) ブログトップ
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オクレール先生の誕生日(後編) [のだめカンタービレ二次小説(短編)]

「私、今月ピンチだから手作りのクッキーを持ってきたの」

かわいくラッピングされたプレゼントを少し自慢げにターニャはみんなに見せた。

「ターニャは料理得意だもんね。僕はネクタイを買ってきたんだ。

気に入ってくれて願わくは僕の担当になってくれたら最高なんだけど」

「フランク、海老鯛狙い?」

「そういうターニャはどうせ玉の輿狙いなんだろう?」

「悪い?」

「開き直ってる。ヤスに悪いと思わない?」

「はあ~?ヤスにどうして?」

「僕は関係ないよ!」

黒木くんは見るからに不機嫌に言った。

「今日の主役はオクレール先生だろう?くだらない言い合いは

それくらいにしたら」

俺は周囲の注目をこれ以上集めたくなかった。

三人はそれぞれ違う方向をむきながら

オクレール先生のほうに歩いた。



「お誕生日おめでとうございます!!」

「やあ、よくきてくれたね」

オクレール先生は嬉しそうに言った。

「ええと君はメグミの彼の千秋くんだね?」

オクレール先生が興味深げに俺を見ている。

洞察力が深いような目だ。


「この間の演奏は素晴らしかったよ」

「ありがとうございます」

「いつもメグミは君の自慢ばかりでね」

俺は少し赤くなった。


「フランクにターニャもありがとう!君は?」

「黒木泰則です、オーボエの」

「ああ、そうだったね。担当の先生がこの間誉めておられたよ」

「恐縮です」

黒木くんは少し戸惑ったように言った。



「オクレール先生」

声をかけたのはルイだった。

いつも束ねている髪をおろしてるせいか

大人びて見える。


「真一くん」

それに気づいてのだめがちょっと膨れたような顔で言った。

別に友人以上の感情は無いのに。


「ルイ、美味しく食べる意味を理解できたかい?」

「はい、先生。ただ食べれるものを食べるだけじゃダメだって

わかりました」

「それはよかった。きっとピアノの演奏にも変化が出ると思うよ」

「そうですか。じゃあ、ピアノお借りしても構いません?」

「是非ともお願いしたいね」


嬉しそうにピアノに近づくルイ。

それをじっと見ているのだめ。


緊張を解すように俺はポンと肩を叩いた。

『わかってマス』というようにのだめは小さく頷いた。



オクレール先生が言ったようにルイの演奏が変化した。

というか進化した。


俺も進化続けたいそう改めて思った。






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オクレール先生の誕生日(前編) [のだめカンタービレ二次小説(短編)]

マルレの休憩時間にのだめから電話がかかってきた。

「オクレール先生の誕生会?」

『そうデス。五月九日の夕方から知り合いが集まるみたいで』

知り合いという言葉に俺はちょっと戸惑った。

ルイも来るだろう。

そうなったらまた・・・・。

『聞いてマス?パートナー同伴でもいいって』

「他の友人は?」

『黒木くんはターニャと来るみたいデス』

「ふうん」

『何か予定でもあるんデスか?』

「いや、ただ面識がないし」

『それなら大丈夫デス!ルー・マルレの演奏聴いて

真一くんの事誉めてましたから』

ルイに関してピアニストとしては一目置いてるけど

それ以上の感情は俺に無いから気にする必要はないんだが。

「わかった。車で迎えに行くから」

『黒木くんたちも一緒でいいデスか?』

「マルレの車を借りていくから」

『わかりました』


約束の時間より少し早めに着くと意外にもフランクはヤドヴィガと

一緒だった。

「ヤドヴィガ、人の多いところ大丈夫?」

「あんまり得意じゃないけど・・」

「部屋に篭りっぱなしはよくないよ」

どうやらフランクが少々強引に誘ったらしい。



「大人四人だとちょっと狭いな」

フランクが思わず本音を吐いた。

「それは申し訳ないな。わざわざマルレの車を借りてきたんだが」

「ごめん。乗せてもらってるんのに」

「タクシー代もバカにならないし文句言わないの!」

そういいながらも

「ヤス、もう少し寄ってよ」

「これ以上無理だよ」

「フランクが場所取りすぎじゃない?」

「幼稚園バスじゃないんだから少しは静かに」

俺の言葉に静まり返った。

隣ののだめは可笑しそうに笑っていた。

後ろを見なくてもターニャが少し膨れた顔を

しているくらいわかる。

横の黒木くんがなだめているだろうし。

フランクは申し訳なさそうに体を小さくして座ってる気がする。

ヤドヴィガは付き合いが浅いからわからない。


オクレール先生の家は街から少し離れているが

一般のそれより広くて大きかった。


テーブルには沢山の料理が並べられ

多くの人が既に来ていた。

当人もご機嫌な様子でワイングラスを手にしながら

談笑している。


「すごい人ね」

「音楽関係以外の人もいるみたいだね」

「のだめ、ちゃんとプレゼント用意してるのか?」

「勿論デス」

自信満々に取り出したのはどう見ても

日本の饅頭だ。

「おいおい・・」

「なんデスか。オクレール先生はお饅頭大好きなんですヨ」










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続・清良と真澄ちゃんが・・・? [のだめカンタービレ二次小説(短編)]

ようやく眠りに就こうとしていた俺の携帯電話が鳴り始めた。

俺は無視を決め込んでいた。

しかしその音は途絶える気配が無い。

根負けするように俺は携帯電話を手にした。

聞えてきたのはおろおろした聞き覚えのある声。

『千秋、俺だけど』

「えっ?」

『えっじゃねえだろう!大親友の俺が電話してるのに』

いつの間に大親友に昇格したんだ?と訊きたかったが

なるべく早く電話を切りたかったからそれを我慢した。

「峰?」

『何寝ぼけてんだよ!』

「そっちこそ時差を考えろよ」

『えっ!?』

かける前に気づけ!その言葉を呑み込む。

『いや、それよかおまえがのだめばっかに構ってるせいで・・・』

「意味がわからねえ!」

夜中にかけてきた事を謝るわけでなく

のだめの事で峰にとやかく言われる筋合いは無い。

「こんな時間にわざわざケンカを売りにかけてきたのか!?」

『俺の清良と真澄ちゃんが・・・』

「?二人がなんだって?」

『・・・・・・』

峰はすぐに答えず黙り込む。

「急用じゃないんなら切るぞ」

『待ってくれ。二人が熱愛だって・・・』

「はあ~?」

俺は理解できずおかしな声で聞き返した。

『千秋が真澄ちゃんを邪険にするから。こんな事になったんだ』

「おまえなあ・・・」

あの二人の取り合わせは有り得ない。

どこからそんな話が?

俺は信じられず考え込んだ。

「本人から聞いたのか?」

『いや、週刊誌で』

そんな噂があるならのだめが俺に言ってくるはずだ。

のだめのクセにその手の話は一番よく知ってるし。

『なあ、俺どうしたらいいんだ?潔く二人の幸せなために身を引いたほうが

いいのかな?』

「本人に訊いてみろ。それが一番だ」

『それが出来るくらいならおまえに電話してねえよ!』

「少なくとも清良も真澄もおまえを騙すような奴らじゃない。

俺はそう思ってる」

『俺だって二人を信じてるさ!』

「だったら・・・」

『わかった。悪かったな、千秋』

「ああ」



電話が終わる頃にはすっかり目が覚めてしまっていた。

「少し飲むか」

ワインセラーからボトルを出してグラスに注いだ。

あの二人に限ってそんな事はないと思う・・・けど。


『離れていても大丈夫なんて甘いわよ』

不意に母さんの言葉が頭を過ぎった。


誤魔化す様にワインを口に流し込んだ。

何度か繰り返すと眠気が戻ってきた。

ベッドに身体を委ねるといつの間にか眠っていた。






再び目を覚ましたのはまたしてもうるさい携帯電話の呼び出し音だった。

同じように手に取るとさっきとは全く違うテンションの高い声が聞えてきた。


『千秋か?俺だけどやっぱり俺の早とちりだった。

あれは清良じゃなくて清良役の水川あさみさんと

真澄ちゃん役の小出恵介さんの事だったんだ。

まあよく考えりゃ俺の清良が真澄ちゃんとなんて有り得ねえよな。

本当に馬鹿みたいだよな』

まだまだ続きそうな峰の話の途中に思わず俺は叫んでいた。

「頼むから寝かせてくれ!」



続きを読む こぼれ話


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あれから・・・・ [のだめカンタービレ二次小説(短編)]

あれからのだめの様子がおかしい・・・。

いつもの妄想癖と言うよりは脱力感が漂っている。

前みたいに一日泣いてるようなことはないけど。

「のだめ、久しぶりにピクニックでも行くか?」

「・・・・」

俺の声も届かない。

ただ空虚を見つめている。

「俺がとびっきりのサンドイッチを作ったから」

「・・・・そう・・・デス・・・ね」

「じゃあ、今から行くぞ」

半ば強引にのだめを車に押し込んで連れ出す。


少し窓を開けては走る。

風が心地いい。

それでものだめは浮かない顔。


一時間ほど走って路肩に止める。

ドアを開けて出るように促す。


二人で少し歩くとのだめが小さく呟いた。


「あっ?」

「どうした・・・?」


肩に落ちてきたものを俺の目の前に持ってくる。


「桜・・・?」


その言葉と同時に二人で見上げると少し小さめの桜が見えた。

まだそれほど咲いていないが蕾がほころびかけている。


「こっちで桜が見れるなんて・・」

「俺も知らなかった」


しばらくのだめは黙ったままだった。

俺も何も言わず桜を見ていた。



「桜も頑張ってんデスね」

「うん」



それから堰を切ったように話し始めた。

日本が大変なのに自分が平穏に暮らして良いのか

心の中に罪悪感を感じて音楽にも打ち込めなくなった事。

どうすれば良いかわからないという気持ち。



俺は何も言わずにずっと聞いていた。



「自分だけが辛いんじゃない。でもどうすればいいか

わからなくて・・・」

苦しげに頭を抱える。


「一人で抱え込むな。俺も同じだから」


のだめの頭を抱えながら言った。

のだめはただ小さく頷いた。




ちょっとずつ前を向いていこう。




















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当たり前の大切さ [のだめカンタービレ二次小説(短編)]

「のだめ・・・」

俺は顔を伏せて膝を抱えて動かないのだめの頭を

ポンと叩いた。

「・・・・センパイ・・・」

泣きはらした顔で元気のない声で言った。

のだめは人一倍感受性が鋭くて必要以上に

人の感覚とシンクロしてしまう。

「どうしてこんな事に・・・」

辛そうにかすれた声で言う。

俺は適当な言葉が見つからず戸惑った。



「俺にもわからない」

本当にそう思う。

ただ当たり前に生きていた人たちが

どうしてあんな酷い事になったのか

きっと誰も答えられないだろう。


「のだめ、俺たちは無力だけどただこれ以上悪い事が

起こらない様に願う事くらいしかできないけど

今を精一杯生きよう!それが唯一できる事だと

思うから・・・」


震えるのだめを抱き締めながら

自分にも言い聞かせるように言った。



******

震災に見舞われた多くの方々心よりお見舞い申し上げます。

傍観者の立場でいる自分が腹立たしく何も出来ない

自分が悔しくて仕方がありません。

今回の事で多くの事を考えました。

当たり前の大切さ。それに甘んじていた自分の傲慢さ。

本当に恥ずかしい限りです。

日々の暮らしに感謝してつつ皆様が一日も早く

平穏な生活が戻られる事を祈っております。


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お日様に感謝 [のだめカンタービレ二次小説(短編)]

「のだめ、早く起きろ!」

まだ夢見心地ののだめの上布団を剥ぎ取る。

「ふへ・・・?」

「朝から変な声を出すな」

「ふはぁ・・・。まだ八時じゃないデスか。この間の仕返しの続きデスか?」

多分この間の早朝のジョギングの事を

のだめは言ってるんだろうが俺はそんなに執念深くない!

「明日から天気が悪いと言ってたから今日中に洗濯やら

布団干しをしてしまうぞ」

俺は素早くシーツを取り外してランドリーに運こぶ。

その様子を見ながらのだめが呟く。

「真一くんは働き者の主婦みたいデス」

「おまえに任せておくと何年も布団干しなんてしないだろう?」

「・・・そんな事ないデスよ。のだめだって・・」

あえてここは前はいつシーツを換えたとは聞くまい。

と言うか聞くのが怖い、マジで。



俺は殆んど用を済ませた頃、のだめはようやく起きてきた。


のだめは窓を開けて外を見る。


「眩しいデス」

手で目を保護するように太陽を見る。

「ようやくちゃんと目を覚ましたか」

皮肉っぽく言う。


「意地悪デスね」

「別に」


しばらく二人で日のぬくもりを感じていた。

「昔から早起きは三文の徳っていうだろう?」

「おばあちゃんみたい・・・」

「どうせ俺は年寄り臭いさ」

「そんな事言ってませんヨ」


いたずらっぽく笑うのだめがとても可愛く見えた。

こんな日も悪くない。










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とある休憩時間 [のだめカンタービレ二次小説(短編)]

ルー・マルレの休憩を見計らって

テオが興味深々の様子で俺にまとわりつきにくる。

気づかないフリをしてスコアを見る。

どうせバレンタインはどうだった?とか

誕生日は勿論奥さんと過ごしたんだろう?

とか訊きたいんだろう。

ひとつでも答えようものなら

怒涛の如く質問攻めに遭うに決まってる。

とにかく目を合わせないようにしよう。

根掘り葉掘り訊かれるのは好きじゃない。

「チアキ、実は孫娘からチョコレートをもらったんだが」

そう俺に話しかけたのは意外な人物だった。

「それはよかったですね」

「ああ、娘から貰うより何倍も嬉しいよ」

照れながら話すトマ・シモンがなんだか新鮮だった。

「チアキはモテルからいっぱい貰ったんだろうな?」

「そんな事ないよ」

「ああ、そうか。婚約者から貰ったら充分だな」

「貰ってないです」

「ええ~!喧嘩でもしたのか?」

「いいえ。そのなんていうか俺が自分で作りました」

「どう言う事だ?」

「あいつはあんまり料理が得意じゃないので

(というかあいつに任せると大変な事になる)」

「自分で食べるものを自分で作るとは・・・」

少し呆れたように言う。

「いや、殆んどがあいつが食べて・・・」

「・・・・」

一瞬呆気にとられた顔だったが大笑いした。

その様子にメンバーはびっくりしたようだった。

「君はもっとクールだと思ってたんだが・・・。

だけど君には彼女がいいと思う」

「俺もそう思います」






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三タイプ千秋 [のだめカンタービレ二次小説(短編)]

25,6歳の千秋真一

相変わらずねちっこいこだわりで

ルー・マルレメンバーに煙たがられる。

音楽への情熱はハンパなし。

のだめの心変わりを心配しながら

マメに連絡を入れる。

アラサーの千秋真一

少し渋さが出てきた。

それに伴い近寄りがたいオーラが。

のだめには相変わらず

振り回されている。

アラフォーの千秋真一

ロマンスグレーで

若い頃の体型のまま。

二十代から八十代まで

幅広い女性からモテル。

のだめと子供二人と言う安定した生活に。




まあこんな風でしょうか?

もっと詳しくお話を書きたかったのですが

またの機会にさせて頂きます。



もっともっと妄想を膨らませなくては・・・。



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飛び火 [のだめカンタービレ二次小説(短編)]

「もう一体なんなんデスか!」

のだめが俺の隣で切れた携帯電話に向かって

怒っている。

それは俺が溜息をついてる理由と同じだった。

違いは電話の主が違うこと。

のだめはゆう子さんに俺はジャンにうんざりしている。

「って言うかゆう子さんって友達いないんデスか」

「それはジャンも同じだな」

婚約してからどういうわけか

二人からの電話やメールが多くなった。

メールの返信が遅れると決まって電話がかかってくる。

「ゆう子さん、何気に自慢話ばかりで・・」

「ジャンの方はどうしてだか俺に早く結婚しろと

言ってくる・・・」

死なばもろともと言う事か。

わかならいでもないが。

俺はまだ24だ。のだめもまだ23。

結婚を急ぐ理由はない。

「結婚っていいデスかね?」

「さあな。俺はまだ経験ないから」

「あったら困りますヨ!」

俺としてはこういう話題は極力避けたい。

のだめが先走りするのは分かりきってるし。

「・・・もしかしてのだめとは遊びとか?」

ほら来た・・・。

「俺はそんな器用な男じゃない。ただでさえ時間が足りないのに

これ以上ほかの事で煩わしくしたくない」

「のだめの事飽きたんデスか?」

「どうしてそういう話になる?」

とんだ災難だ。


「だって真一くんこういう話題避けてるみたいデス」

それは当たってる。

でも今はまだ地盤を固めたい。

どう言ったらわかる?

それが男と女の違いか?


「時期尚早だろう。俺はまだ駆け出しだし

おまえもやっとデビューした所だし」

「それは・・・わかってマス・・・」


「俺たち焦る歳じゃないだろう?

それに左の指輪の効力はそんなに薄いのか?」

のだめは大きく首を振った。


後にも先にも指輪を送ったのはのだめだけだ。

その大きな意味を理解して欲しい。

女は形を気にして男はそれを捕らわれない。

そんなものなんだろうな。
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十日戎 [のだめカンタービレ二次小説(短編)]

―のだめの実家にて―

「ええ~っ!!」

のだめがこれでもかという声で目を丸くして叫んだ。



俺は少し遅めの年末休み(もう新年だが)を

やっと取れる事となり日本に帰国している。

三善の家には此処に来る前に寄って

とても貴重な残りをのだめの実家の大川で過ごしている。

と言ってもさっき着いたばかりだが。


「恵、千秋さんが知らんのは無理なかよ」

「そんでん姉ちゃんが知っとって義兄さんが

知らん事なんて意外だな」


佳孝くんにそう言われると何だがすごく恥ずかしい気がしてきた。


「ばってん、私らとこはのり農家やけん」

「そうたい。そげんこつ大したことじゃなかよ」

あまりに援護されると少し情けなくて

「外国暮らしが長くて・・・」


みんなの視線が痛くて子供のような言い訳を

してしまった俺。


「十日戎は1年の無事を感謝して、五穀豊穣、大漁とか

商売繁盛を祈願するものなんですヨ」

『初めて聞いた・・・』

三善のおじさんに聞いた覚えもない。



それより何よりのだめに説明されてる自分が悲しい。

しかし此処は駄々をこねるよりこの一言だ。



「すごいです、のだめさん」

「わかればいいんデス」

へたな事を言うと段々深みにはまりそうだ。


「じゃあ、今年は恵に福笹たのもうかね」


「なんでみんなで・・・」


お父さんの言葉を遮るように洋子さんが

肘で合図を送った。


二人の邪魔になるからと気を回してくれたのだろう。


「真一くん、十日恵比須神社は遠いから

近くの日吉神社に行きましょう」


この日ばかりは俺はのだめに感心しきりだった。

神社の手水に参拝の作法を説明された。

もしかして俺が思ってる以上に常識人か?

そんな考えが浮かんでくるほどだった。


帰りに去年より大き目の服笹を持って帰ってきた。












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